「とろとろやっていたら面白くないじゃ、もつとスピーディなゲーム運びをしようよ」という、現代サッカーのようなリズム感だ。 テンポよくことが運ぶ状態を何度も経験すると、身体に染みつき技になってくる。
するともう、スローな仕事の仕方に耐えられない。 否が応でも仕事が速い「できる人」になってくる。
このような身体性は、「生まれつく」ものではない。 経験によって「つくり上げる」ものだ。
日本語ワープロソフトIを開発した、ジャストシステムという会社のU社長と対談をしたことがある。 彼はおそろしくハイテンションな人間だ。
私もテンションにすぐ火がつく口なので、お互いに話が止まらなくなった。 愛媛県出身のU社長は、ソフトの中に方言を盛り込みたいという野望を持っていた。
社員にすれば、方言などという莫大なものに手をつけるのは気が重い。 だが、彼はあまり乗り気でない社員に向かって、「私は不退転の決意だ。

絶対に方言をソフトに入れたいのだ」と強く熱く語り続け、社員を動かしたそうだ。 彼は常にやりたいことがあり、やりきれないほどだと話していた。
そのように気持ちが常に熱く、やりたいことがまだまだあるということは社員に必ず伝わるだろう。 すると社員の側も「この会社にはまだ未来があるな」と感じ、働くモチベーションが上がる。
ハイテンションな身体には、それだけで人を揺り動かす力がある。 テンションの高さが熱意を感染させ、仕事の場をテンポよく動かしていくのである。
人はテンポの速い人、ハイテンションな人に、どうしても引きつけられていく。 この人は勢いがある。
この会社は勢いがある。 その勢いというものに非常に敏感に反応してしまう。

ある程度仕事ができるようでも、勢いがないと何となく沈滞してしまう。 ある人の勢い、ある会社の勢いに乗せられて、周囲も活気づくことはあるものだ。
勢いという、暖昧で目に見えないものを体現させうる手段が身体である。 身体のあり方が場の空気を決定する。
たとえばその人の身体の表情、声というものを聞いたときに、その人の持っている生物としてのエネルギーは充分伝わってくる。 男性に限らず女性でも、判断のスピードが速い人は仕事ができる人だ。
そういう人に出会うと、どんどんついていきたくなる。 すぐれたリーダーシップを発揮している本当にいい上司や社長は、ほとんど例外なく明るい。
たったいま仕事を志したときのような勢いあるオーラを、明々と灯している人が多くそのテンションの高さは、判断の速さに直結している。

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